パーミッション型からリクエスト型へ
今、ネット広告業界は空前の『オプトインメール』ブームだ。このトレンドはおそらく来年いっぱいは継続するだろう。なにしろ現在(2000年12月29日)のところ、オプトインメールは米国でも日本でもネット広告上で一番費用対効果のよい広告手段なのはマチガイないのだ。
『オプトイン(Opt-In)』とは、「すすんで受け入れる」というニュアンスのコトバで、オプトインメール広告とは『メールによる企業広告をすすんで受け入れるユーザーを対象にした』電子メール広告である。
『そんなユーザーが存在するのか?』という印象を、筆者はかつてもっていた。基本的に企業の広告がキライな自分としては、『オプトイン』なんて態度は信じられないのだ。しかし様々なネット広告調査によると、ネットユーザーにとって広告は『有用な情報を知るためのきっかけ』として受け止められていることが多く、こうした企業からの情報についてもかなり寛容であることが判明しているらしい。
この調査結果の背景にはしかし、現在のインターネットユーザーの90%以上がネット利用を初めて一年以内の『初心者』であり、自分の必要とする情報をネットで検索して入手するスキルが充分でないためではないかと個人的には考えている。(検索エンジンを使いこなせないユーザー数増加のニュースもある)
とにかくインターネットはこれからも当分は初心者が主役のメディアであることは間違いない。初心者は自分で情報を捜せない…そもそも自分にとってどんな情報が必要かを判断できない…こんなマーケットでは電子メール広告のようなプッシュ型広告の効果は高いのだ。
『オプトイン=パーミッション』というセンスにも限度がある
『オプトインメール広告』のキャッチフレーズは『企業からのお得な情報をメールでお届けします』というもので、『関心のあるジャンルを選択してください』という感じで様々な企業カテゴリーを選択する。無事カテゴリーを選択して入会すると、確認メールで選択カテゴリーを確認してくる。これに反論しなければサービス開始だ。そして送られてくるメールでの『お得な情報』は、単なる企業広告である。何割かのユーザーにとってはお得な情報かもしれないが、特定の割合のユーザーにとっては『がっかり』させられる事実である。
そんな場合、送られてくるメールを無視するが、自分で『進んで拒否』しないかぎり、メールは送られ続ける。ごみ箱は不要な情報でいっぱいになるわけだ。サービス提供をする側の論理は『ユーザーがオプトインしたから了承されている』というものだが、ユーザーの感情は『そこまで了承した憶えはない!調子にのるなよ』ということもある。
『パーミッション』ベースのはずの『オプトイン』は、限度を超えるとそのブランドに対する『拒絶』に変化することもあるのだ。
こうしたユーザーの『拒絶』を防ぐために、現在のオプトインメールサービスには大抵『ポイント還元サービス』がオマケでつくようになった。広告メールを受け取ればそれがポイントとしてユーザーの利益になる仕組みである。ユーザーが進んで受け取るものは『企業からのお得な情報』というよりは『ポイント』に変わっていくのである。
(かといってこうした『ポイント目当てのユーザー』ばかりのメール広告のアクション率が低いわけではない。むしろポイント目当てのユーザーのほうが広告情報に対して従順であることは『DEmail』やその他の懸賞系メディアの効果実績を見れば明らかなのだ。これはインターネット特有の新しい消費層ではないかと筆者は考えている。『浪費層』とでも呼びますか…)
このような、サービス感覚のミスマッチには前例がある。ハンバーガーショップでハンバーガーを注文するとドリンクを勧められる。もちろん大部分の客は勧めに従いドリンクも注文し、企業は利益を確保できる。しかし何人かの『急いでいる客』はこの『関連販売』型サービススタイルをジャマと感じて、だんだんとその店を利用しなくなる。
ひとつの『パーミッション』にひとつの提案が顧客の『リクエスト』を可能にする
オプトインメールで『拒絶』ユーザーを作らないベストな方法は、メール配信ごとにユーザーに『オプトイン』してもらうことだ。つまり、広告メールのラストセンテンスには『このサービスを有益と感じ、次回もメール受信を了承する方はこちらをクリックしてください』とかなんとか追加して、リンクをクリックすると次回も会員としてメールを受信できる。放置しておけば次回からはメールが配信されない仕組みである。
こうしたサービススタイルでは、おそらく会員はそう簡単には増えないだろう。しかし『拒絶』ユーザーがそのサービスを非難することを考えれば、サービスの寿命を長くするためにはこうした『リクエストベースのオプトインメール』のほうが有効ではないかと思うのだ。