2000/11/5 日曜日

ネット広告と既存広告の違い

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 18:49:15

前ページでは、既存のメディアを利用した広告とインターネットメディアを利用した広告の違いを、マンション販売の例で解説した。かなりおおざっぱな例だったので、『なんだかよくメリットがわからない。簡単に説明しろ!』というヒトのために、インターネット広告の特徴を以下にまとめてみよう。

インターネット広告は認知から購買アクションまで顧客行動が一直線である

インターネットでは、ユーザーが広告を認知してから、その商品、サービスを購入するまでの経路は一直線だ。ヘタをすれば認知から購買まで数分で完了してしまう(もちろんネットで購入可能な商品に限るが)。これは広告効果というよりプロモーション効果(販売促進効果)といったほうがわかりやすいが、要するにインターネット広告は広告活動=プロモーション活動となる。費用対効果という時代の要請にあっては、この特徴はインターネット広告を実行する大きな理由だ。

従来、広告活動とは、商品、ブランドの社会的認知までを使命としていた。テレビCMを例にとれば、ビールのコマーシャルを観たヒトがすぐにビールを買いに行くなんてことはあまりない。ビールを買う場所にいって、どのビールを買うかな…というときに、コマーシャルを思い出すだけだ。ひょっとしたら、ビールの広告を観て、そのブランドのビールが欲しくなるヒトよりも、ビールを飲みたくなるヒトのほうが多いかもしれない。(筆者はこのパターンだ)その場合、ビールのコマーシャルはブランドに貢献するよりも、近所の居酒屋の売り上げに貢献しているかもしれない。

いずれにしろ、広告は広報部の担当で、売り上げを考えるのは販売促進部、うれる商品を考えるのがマーケッティング部というように、広告はシビアな評価からはかなり遠い場所にあった。(だから広告業界はテキトーな世界だった。従来型の広告代理店がネットにあまり進出していないのも、こうしたノンキな業界風土ではシビアなネット専門広告代理店にかなわないからだ)ちなみにインターネットで売れる商品を考えるなら、広報+販売促進+マーケティング機能をウェブ部門が統括していなければならない。

余談だが、テレビコマーシャルにはそれ特有の効果があって、たとえばコマーシャルでビールを飲んでいるタレントさんのイメージや、ビールを飲んでいる環境が、そのビールのユーザーのイメージを作りだす効果がある。美人の若い女将と頑固そうな主人が質のよさそうな料亭を経営していて、そこで飲まれているビールが『エビス』というわけ。これを記号効果と勝手に名付けるとしよう。そうすると、広告活動=ブランド認知効果+記号効果ということになる。こうした効果はいまのところのインターネット広告では実現が難しい。

しかし、この記号効果については、使い方を誤ると危険で、売れるはずのものが売れなくなることもある。商品イメージを固定してしまう危険があるからだ。『エビス』ビールの例でいけば、イメージを上質にしたかわりに、味に対する期待も大きく肥大してしまった。しかし『エビス』ビールは他のブランドに比較してとびぬけて高い商品ではない。では、なぜ上質なのか?答えはどこにも告知されていないので、ユーザーから見て、このズレはエビスビール購買のジャマをする。

また、広告効果をタレント性に頼りすぎると、商品寿命をダメにしてしまうこともある。コマーシャルに起用したタレントが不祥事を起こすと、商品イメージまで悪くなってしまう。それを覆すためには、さらにインパクトのある広告を大量の金をつかって作成しなければならない。

『ネットでビールが売れるかよ!』というイチャモンがつきそうだが、例えばインターネットで渇きを満たすことはできないが、ビールを大量に購買させる機会をつくることができる。日本人はお中元やお歳暮商戦があり、ビールもそうした贈り物に選ばれることは多い。これはネット向きの商品だ。

インターネット広告の効果は測定可能である

例えば日経新聞に広告を出しても、どんな読者がどれだけその広告を見たかは全く測定不可能である。

『いや、媒体調査によると日本の経営者の90%以上は日経新聞を読んでいるから、すくなくとも経営者クラスの人間に対して認知効果がある!』といわれても、それはあくまで媒体全体の予測でしかない。読者は特定の記事しか読まないかもしれないし、特定の誌面しか興味ないかもしれない。新聞の特定の広告枠に何人が注目したかを調べるには、読者全員にアンケートをしてみるしかないが、そのアンケートが正確に回答される保証はない。したがって広告効果も予測不可能だ。

雑誌の広告にしても同様で、たとえば25万部発行のタウン誌に広告を出しても、何人がその広告を見るかは測定できない。25万部のうち、半分は売れなくて返本されて、取次店の倉庫に積まれているかもしれない。(実際、1998年度の出版流通調査で、雑誌の返本率は40%以上だった。マガジンハウスも雑誌を廃刊するわけだ)

実販売数が判明しても、読者は広告ページをまったく見ていないかもしれない。あるいは雑誌を買ってから、3日くらい経過してはじめて読み出す読者もいるかもしれない。

交通広告、看板の場合はもっと悲惨だ。看板広告を見るヒトは看板での情報を捜しているヒトだけだ(駅前で道を捜すヒトくらいだ)中吊り広告で効果があるのは山手線やその近郊の路線だけで、混雑する都会だけの媒体だ。広告に電話番号が書いてあっても、いきなり電車で電話をするひとは皆無だろう(禁止されてますからね)。

新聞や看板、雑誌の広告の認知度を広告ごとに正確に調査する方法はない。このことは、広告についての費用対効果を測定できないということを意味するわけで、イントロの項で筆者が新聞広告を『予算が余っている大企業向け』としたのはこういうわけなのだ。

インターネット広告はターゲッティングが可能である

もちろん媒体にもよるが、一般的に、既存の広告媒体に比較して、インターネット広告はターゲッティングが詳細かつ簡単である。

前述のオプトインメール広告では、ユーザーの詳細なプロファイルに合わせて広告を出稿することが可能だ。年齢、住所、性別、年収、職業、趣味、嗜好、家族の有無、よく行くお店の種類、などなど。バナー広告にしても、掲載されるページをどんなユーザーが見ているかは、(あらかじめ実行されたアンケートや、アクセスログの分析により)かなり詳細に特定可能である。また、クリック保証広告のように、その広告に関心のあるヒトが集まるまで広告を掲載しつづけるという形態の広告も可能だ。

それに対して、新聞を誰が読むかは、誰も調査できない。なぜなら、特定の新聞を誰が買っているかを調査する方法がないからだ。(繊維新聞を繊維関係のヒトが読むという推測は可能だが。)

新聞の広告調査はアンケートによる統計調査があるが、費用は莫大である。

『日経新聞を読んでいるヒトに告知したい』という広告担当者が多いが、これはターゲッティングではないし、こうした考え方をするヒトはインターネットには向いていない。おおざっぱ過ぎて、広告予算がすぐに底をついてしまうだろう。

かつて雑誌広告は、ターゲッティング可能なメディアだった。今でも、女性ファッション誌などは想定読者というのをかなり煮詰めているので、ターゲッティングは容易といえるかもしれない。しかし、費用対効果を考えるとき、雑誌ほど無駄の多いメディアはないだろう。大半の読者は広告スペースなど読み飛ばすからだ。じゃあ記事タイアップ広告!と思うかもしれないが、通常、雑誌広告でもっともコスト高なのは記事タイアップ広告である。

インターネット広告はリアルタイム告知が簡単

リアルタイム告知とは、ふたつの意味がある。ひとつは、準備から告知までの期間が極めて短くできるということ。もうひとつは、告知する時間を特定できるということである。

ネット広告は準備が他の媒体に比較して簡単である。もっとも簡単なのはメール広告で、文字ルールさえ理解できれば誰でも数分で原稿を用意できるだろう(よい原稿かどうかは別として)。原稿を準備できれば、あとはメールを配信するだけ。『思いついたらすぐ告知』というわけだ。準備期間が短いということは、やはりコストが安いということである。『時は金なり』ですからね。

紙媒体の広告なら、企画、デザイン、印刷、納品と気が変になるほどの専門プロセスを経過して、ようやく完成だ。印刷段階で修正はできないし、企画から出稿までどんなにがんばっても1週間はかかるだろう。もちろん広告プランは別に時間を作らなければならない。デザインが気に入らなければ、すべてはオシャカになる可能性もある。

告知する時間を特定できるというのは、バナー広告でいえば表示する時間帯を選択することが可能だし、また時間帯によってホームページ内容を書き換えることも可能だ。もちろん、こうしたリアルタイム性はラジオやテレビ広告にはかなわないが、やはり費用対効果ではネット広告がはるかに有利である。

コメント (0)

この記事にはまだコメントがついていません。

コメント RSS

現在コメントフォームは利用できません。

コンテンツの無断転載を禁じます。必ずウェブマスターへご一報ください。
HTML convert time: 0.780 sec. Powered by WordPress ME