2000/11/29 水曜日

『リクエスト・マーケッティング』へ向かうために

Filed under: Marketing — 管理人 @ 21:19:07

ユーザーがインターネット環境に習熟し、ビジネスで利用する率が高まるほど、企業からユーザーに向かう『広告告知』はどんな方法をとっても、やがて効果が低くなるのだ。成熟したネットユーザーは、自分に必要な情報を自分で探すことができるからだ。

欲しいものは欲しい時に、自分のタイミングで手にいれる。つまり、広告よりも自分の入手する情報のほうが購買動機になるのだ。こうしたユーザーにとっては、従来通りバナー広告のほうが便利だし、告知主体の企業のブランド価値も崩れないだろう。

企業は、ユーザーに『迷惑』と受け取られるような情報発信は(キャッチセールスや訪問販売、電話セールスと同じく)やってはいけない。

21世紀の企業がまずやらねばならないのは、ユーザーが必要と感じたとき、できるだけ必要な情報(商品)にアクセスできるように、情報(商品)を整理し、提供できるように準備しておくことだろう。

つまり、企業が消費者に対して告知するような一方通行の販売促進だけではなく、消費者が企業に対して、必要なものを要求する。あるいは消費者は自分に何が必要なのかを、企業が発信する情報からいつでも引きだすことができる。企業はそうした消費者の要求をキチンと受信できるシステムを準備しておき、あるいは要求に応じて情報を発信し(一方的に押し付ける情報:プッシュ型広告ではない)、柔軟に個別のニーズに対応して(One to One)、しかも利益を生みだせるような経営スタイルを持つ。(これはCRM:Customer Relationship Management、顧客関係管理の発展した形かもしれない)

そうした次世代のマーケティングスタイルを、『ウェブ・ユーザビリティ』の著者、ヤコブ・ニールセン博士は 『リクエスト・マーケティング』と命名したわけである。

2000/11/20 月曜日

メディアレップに未来はあるか

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 12:59:37

前回までの説明でネット広告の流通の特殊なしくみについて理解していただけたと思う。ここで、最前線のネット広告市場についてちょっと裏舞台を話そう。

メディアレップ国内最大手のサイバーコミュニケーションズが、この11月にマザーズ上場を果たした。株価は不振のマザーズにあって、まあそこそこといったところである。しかし、国内のネット広告業界全体を眺めた今、メディアレップが存在意義を問われ始めている。業態が確立して2年そこそこでこんなことを言うのは早計と思われるかもしれないが、メディアレップが事業を拡大していく可能性は極めて低いと言わざるをえない。なぜか。

まず、前回までの解説で、筆者はメディアレップの業態をネット広告の卸販売と比喩したが、インターネットビジネスが発達していく中で真っ先に不要になるのが、こうした単なる仲介ビジネスの収益モデルであるといわれる。メディアレップが、人気サイトを広告枠として発掘し、広告販売のリーダーシップを発揮できたのは過去の話。現在人気のあるサイトの運営者は、広告媒体としてのプランニングスキルがメディアレップと遜色ない。つまりウェブサイトが広告事業を学習し、充分に成長してきたのである。

今や、yahooやその他の人気サイトは、独自にセールス部隊を持ち、メディアレップに頼ることなくプロモーション戦略を構築し、ネット広告代理店に直接広告枠を販売している。人気サイトは売りやすい上に媒体側の窓口がしっかりしているので、ネット広告代理店側もメディアレップに頼ることなくサイトに広告枠の手配ができる。もはや広告枠管理のために仲介手数料を支払う意味がないのだ。

ネット広告市場が成長するにつれて、人気サイトは利益を最大限にするために、できるだけ広告主に近い場所で広告枠を販売していこうとするものである。人気が急上昇の女性サイトも、後述するオプトインメール広告も、ほとんどがメディアレップを必要とせず、広告枠を販売することで粗利の高いビジネスを拡大している。

こうなるとメディアレップが扱えるサイトは、人気の低い、自立できないサイトのみになる可能性がある。そうしたサイトをネットワーク化して広告商品として販売することは可能だが、大きな利益確保が困難になるだろう(サイトの管理手数が増えるので)。

こうして広告の卸販売は廃れていくものと筆者は考えている。パワーを持つのは販売力を持つ広告代理店であろう。

そんなわけで、抱える顧客数に自信のあり、ネット広告に進出していない従来型の広告代理店は、努力次第で大きなポテンシャルがあるといえるのである。

インターネット広告の流通のしくみ(2)

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 12:55:16

前ページではネット広告の流通のしくみについて解説した。ではそれらの仲介手数料(マージン)について解説しよう。また下の図を参照する。

ネット広告流通のしくみ図

(1)のネット広告代理店と広告主のやりとりでは、広告代理店は300万円の広告料金を広告主に請求する。その際の広告枠はメディアレップから仕入れているので、仲介手数料はメディアレップからネット広告代理店に支払われる。広告料金の内の15〜20%が広告代理店のメディアレップに対する仲介手数料、つまり利益である。広告料金300万円の例では、300万×15%=45万円。2〜3回の訪問でこの粗利益なら悪くない。

メディアレップは広告媒体サイトに対して、設定した広告枠の定価300万円の内、60〜70%程度の金額をサイト運営者に支払う。全体でみると、300万円の広告料金の内、一般に45万(15%)は広告代理店の利益、同じく45万円(15%)がメディアレップの利益、210万円が広告を掲載した媒体サイトの売り上げとなる。

もちろん、このままでは最前線の広告代理店が一番大変なので、メディアレップに手数料のアップを申し出ると、最大23%程度までメディアレップは折れることもある。一方メディアレップは利益を確保するために、媒体への支払い金額を下げたり、あるいは媒体をたくさんネットワーク化して一つのメディア(ネットワークメディア)にして、広告価値を上げて高額な広告枠を作りだしたりして大きな広告主のオーダーに応えられるようにしていく。

いってみればメディアレップはネット広告の卸販売業なのだ。

さて、図解したように、従来の広告代理店は、広告枠をネット広告代理店から仕入れていることが多い。これは先に説明したように、従来の広告代理店がネット広告の販売ノウハウを持っていないにも関わらず、広告主のネット広告に寄せる関心とニーズが非常に高いため、止むなくネット広告代理店に助けを求めている形だ。こうした場合の手数料は、通常の広告枠なら広告料金の5%〜10%である。

これはいかにも広告主にとってメリットの少ない構造といえる。従来の広告代理店ではネット広告の最大の利点である広告効果の検証と次回のプランニングが広告主に充分提供できないからである。仮にネット広告に出稿して高い広告効果がでれば、広告主はますます従来の広告からネット広告に比重を傾けていく。すると従来の広告代理店はますますビジネスが難しくなっていく。しかし広告主への提案が不十分なので、だんだん広告主は従来の広告代理店からネット専門の代理店へと依頼先を変えていくのだ。

従来の広告代理店はそろそろ本格的にインターネットに力を入れて、自らの企業改革を促すべきなのだ。

今、最先端のネット企業はネット広告単体から看板、新聞広告、雑誌広告と組み合わせた広告企画を歓迎する。広告のリーチを考えれば当然の選択だ。これら複合メディアプランを作りだすには従来の広告代理店が不可欠である。(ネット広告代理店は紙媒体を扱う余力がないほど忙しいので)交際費に出費するヒマがあったらIT関連事業部に投資すべきだ。

2000/11/17 金曜日

インターネット広告の流通のしくみ(1)

Filed under: , — 管理人 @ 12:48:23

例えば、あなたが企業サイトのウェブマスターで、サイトでの新しいサービス開始に合わせて、インターネット広告をやってみようと思いたと仮定する。あなたは広告代理店を探し、たまたま電話のあったネット専門の広告代理店に相談したところ、有名検索ポータルサイトにバナー広告を掲載するプランを提案された。費用は300万円。掲載は1ケ月で、最低保証PVは200万PVだと説明される。あなたが見積もりを承認して広告発注にゴーサインを出すと、以下の図のようなしくみで広告は掲載される。

ネット広告流通のしくみ図

(1)はネット広告代理店と広告主のやりとり。300万プラス消費税が広告代理店に支払われる。初回は前金であることが多い。

(2)はネット広告代理店とメディアレップの間のやりとり。メディアレップ(Media Representative)という業態はネット広告特有のビジネスで、星の数ほどあるインターネット上で広告媒体として価値あるサイトを見つけて、広告枠として販売代理契約を締結する(3)という、いってみれば人気ウェブサイトのエージェント的存在だ。大きなサイトでなくとも一定のユーザーを集める中堅サイトをたくさん集めて、ページ上などに共通のバナー広告枠なんかを作らせて、広告枠のネットワークとして広告代理店に提案することで大きな広告料金を稼ぎだす。ネット広告特有の媒体特性を検証するノウハウプランニング能力、サイトの持ち主とのコミュニケーション能力が求められる業態だ。

国内の代表的なメディアレップは、電通系のサイバーコミュニケーションズ(略称CCI)、博報堂系のデジタル・アドバタイジング・コンソーシアム(略称DAC)である。もちろんこの2社で扱うことのできない小さなサイト専門のメディアレップや、メールマガジン媒体を扱うメディアレップもある。

メディアレップの特徴は、広告代理店に広告枠を仲介販売するという、ニッチな販売スタイルにあるが、この特徴はこれからのメディアレップの弱点になると考えられている。

次ページで、これらの流通システムによる仲介マージンと各業態の今後の課題を解説しよう。

なぜ従来の広告代理店はインターネット広告がニガテなのか?

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 0:24:41

インターネット広告の市場は毎年200%以上の高い伸びを示していることは前に書いたが、新聞、雑誌、テレビ、交通広告などの媒体を扱っている従来の広告代理店は、なぜかインターネット広告を取り扱いしていないところが多い。というより、既存の広告代理店は(超大手代理店も含めて)インターネット広告に関しては今のところほとんど販売力を持たない。

筆者の知る限りで言えば、既存の広告代理店がネット広告界に進出できない理由は以下の3つである。

  • 『広告効果の測定が可能』というネット広告の特徴が、従来の広告販売スタイルに馴染まない。
  • インターネット広告界での媒体の流通システムを理解できていない。
  • インターネットそのものに既存の広告代理店は馴染みがない。

最初の理由に関しては、『広告の目的はブランドの認知であり、ブランドの認知には明確な測定基準がない』という風潮が既存の広告代理店にはある。要するに広告効果は形のないものであるという暗黙の了解である。しかも広告代理店が向き合うのは主に企業の広報部門であり、売り上げに直接関わる部門である営業部門や販売促進部門に向き合うのは、どちらかというと販売促進・マーケティングを扱う会社なのだ。(したがって景気が悪くなれば、こうした売り上げに直接結びつかない広告への予算は削減されて、セールスプロモーションに力をいれることになる)

効果測定が要求されるのは、プロモーション(販売促進)業の特徴だが、その測定方法はアンケートや来客数調査、売り上げ増加率などの調査がメインで、効果測定は別見積もりになるほど大変な作業で時間もかかる。

しかしインターネット広告は、一般的にブランドの認知+販売促進という二つの効果があり、しかも効果測定は簡単で、迅速だ。広告掲載が終了すれば、どれだけ広告が閲覧されたか、どれだけユーザーの行動を促したのか、などがすぐ報告される(このあたりのノウハウについてはここで解説済み)。リアルタイムでのレポートさえ可能なのだ。

そんなわけで、インターネット広告を取り扱う営業担当者には、広告効果の予測を行う能力と、高いマーケティングセンスが求められる(もちろん全てのネット広告専門代理店がこれらの能力に長けているわけではない)。『おつきあい』だけではネット広告の営業とはいえないのだ。こうしたシビアさは、従来の広告代理業の苦手とする性質のものだろう。

二番目の、ネット広告の流通システムについて特徴的なのは、メディアレップという新しい業務が、インターネット広告の際に威力を発揮する(今のところね)という現実を、従来の広告代理店が理解できないという事情がある。これについては次のページで解説する。

三番目の理由については、別に広告代理店に限ったことではなく、現在の国内企業の管理職・幹部クラスのヒトたちのコンピュータースキルが概して低いために、新しいコミュニケーション手段であるインターネットについてあまり積極的に関わることが出来ないという、日本特有の事情による。

比較的あたらしもの好きの広告業界でも、ビジネスとなるとなかなかスタイルを変えられないようで、電子メールのスキルも『なんとかできる』程度のヒトがほとんどだ(メール文面もヒドイ)。このあたりはやはりIT系ベンチャー企業のほうが有利で、ネット広告の代理店なんかも、当然ながら日常業務のほとんどを電子メールで完結させることで売り上げと直接関係ない業務活動の時間を短縮・効率化している(顧客にも相応の情報スキルが要求されるので、ある程度絞り込んだ顧客にしかコンタクトしない)。

訪問営業のスタイルも、従来の代理店なら、挨拶のために訪問(日本はコレがとても多い。『お近づきのしるし』に名刺交換など時間の無駄だ)→雑談のため訪問→仕事のご相談…という具合に、靴をすり減らす作業がとても多いところだが、電子メールを充分活用すれば、最初の挨拶で相談→プレゼンテーション→お仕事受注!という感じで行うことができる。

インターネット広告は単価の低い媒体も多いので、何回も客先を訪問するのは割に合わないという事情もあるが、電子メールにより『正確な情報を記録可能な形で』顧客と交換することにより、顧客満足度を高めているようだ。

2000/11/14 火曜日

『パーミッション・マーケティング』の効果と限界

Filed under: Marketing — 管理人 @ 21:15:39

最近、IT業界を中心にさかんに使われる『パーミッション・マーケティング』というコトバ。これも多すぎるマーッケティング本が生みだした弊害のひとつだ。元々は米国ヤフーの副社長、セス・ゴーディンの提唱した、『富山のクスリ売りをヒントにした販売ノウハウ』である。あらかじめ承認を得ている顧客にのみ、関連販売を展開するというものだが、これが今流行っている。

例えば、電子メール広告のひとつに、オプトインメール広告というものがある。これは電子メールを使ったダイレクトメールだが、あらかじめユーザーに広告の内容を選択させ、企業からの情報メール送付をユーザーが了承しているという特徴がある。たとえば『マンション購入に興味がある』と申告すれば、不動産会社からの広告メールのみ配信されるようになるしくみだ。

『オプトイン』というのは『すすんで…する』という意味合いで使われていて、『オプトインメール』といえば、『ユーザーがすすんで受け取ることを承認した』というコンセプトのメール広告として展開されている。このオプトインという概念は、パーミッションマーケッティングの実例として知られている。

オプトインメール広告の効果は今のところネット広告の中でもずば抜けていて、たとえば広告のクリック率はバナー広告が通常0.3%程度なのに対して、オプトインメール広告の場合は最高20%くらいのユーザーがクリックする。非常に費用対効果に優れた広告方法である。

しかし、これはあくまで初心者が支配する現在のネットユーザー市場において効果を発揮する広告方法だ。インターネットに習熟し、仕事で日常的に電子メールを利用するユーザーにとっては、やはり広告だけのメールはだんだん敬遠されていく。

いくら不動産情報に興味があるからといって、賃貸マンションから投資用の高額マンション、分譲マンションの情報からSOHOマンションの提案までされてはウルサすぎるのだ。

オプトインメールでいうところの『オプトイン(すすんで受け入れる)』という概念には寿命があり、それは案外短い。 このためオプトインメール広告では、広告効果が一定レベルを保持できるように、どんどんネット初心者を取り込んでいくのを至上命題としている。

『オプトインメールのクリック率が最高で20%』と言われて、『広告価値が高い』という説明はあくまで他の媒体と比較した際の費用対効果の話。クリックしなかった80%のユーザーにとって、そのメールは『価値ある』メールではなかったわけである。

とはいえ、オプトインメールは今のところスパムメールに比較すればずいぶんと『広告倫理に配慮した』広告手段として評価されるべきだろう。結局、パーミッション・マーケティングが貢献したのは、この『販売促進の場に企業倫理を呼び覚ました』という点につきるのではないだろうか。

2000/11/12 日曜日

広告効果の測定はネット広告の命(2)

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 19:19:03

前ページでは、バナー広告をユーザーがクリックするまでの広告効果の測定指標を順をおって説明した。今度はユーザーがリンク先にやってきて、そのあとの行動についての広告効果指標について解説する。参照のため、前回の図をまた以下に掲載しておこう。

バナー広告を出稿すると測定できる数値の図解

たとえばあなたが会員制のコミュニティサイトを運営していて、前述のようなバナー広告を出稿したと仮定する。このときの広告出稿の目的はずばり『会員の獲得』にあるはずだ。とすれば、バナー広告をクリックしたユーザーが、リンク先サイトにアクセスして、会員登録手続を完了すれば、広告目的は完了ということになる。

バナー広告をクリックしてアクセスしてきたユーザーが、こうした会員に申込をした場合の指標は、コンバージョンレートという考え方で算出される(Conversion Rate:顧客転換率)。たとえば、バナー広告のクリック数が200で、その内会員として申込完了した人数が15人という結果が出たとすると、その広告のコンバージョンレートは、以下の方法で算出する。

コンバージョンレート = 会員獲得数÷広告クリック数
= 15人÷200クリック = 0.07 = 7%

コンバージョンレートが低い場合、バナー広告の告知内容と実際のサイトの性質が著しく隔たりがあるとユーザーに認識されたり、そもそも会員になったときのユーザーのメリットが低いなどの、コンテンツやサービスに関わる原因が多いに考えられる。また、申込フォームのミスや、ユーザビリティが悪いページデザインも、コンバージョンレートを低下させる原因となる。

広告掲載終了後の費用対効果の測定

インターネット広告実行にあたって、最終的に考えなければならないことは、その広告プランを実行した際の費用対効果の指標と算出である。費用対効果が高い(Cost Effective)かどうかを各プランに対して算出しておくと、次回広告を発注する際の媒体の評価の目安となる。

またこうした習慣により、たとえばサイトに1000人集めるにはどれだけ広告予算を用意すべきか、あるいは会員を500人、1ケ月で獲得するにはどれだけ広告に投資すべきかを、見積もることができ、計画的なサイト運営ができる。つまり、計画的な経営体制に貢献できるのである。

今回のバナー広告の説明で、コミュニティサイトの会員獲得を広告目標と設定し、広告掲載サイトの掲載期間中の合計PVが10万PV、ユニークユーザー数が5千人、バナー広告掲載料金が20万円で、クリック数が200件、15人の会員が獲得できたとする。

このとき、広告の費用対効果は、 ページビュー単価、クリック単価(Cost per Click:CPC)、1000人あたりのリーチ単価(Cost per Mill:CPM)、顧客獲得単価(Cost per Acquisition:CPA)という指標でとらえることができる。もちろん、CPAがもっとも大切な指標である。仮に広告の目的がサイトのアクセス数の増大であれば、クリック単価が重要な指標となる。以下に算出してみよう。

  • ページビュー単価 = 20万円÷10万PV = 2円/PV
  • クリック単価(CPC) = 20万円÷200クリック
    = 1000円/クリック
  • 1000人あたりのリーチ単価(CPM) = 20万円÷5千人×1000 
    =4万円
  • 顧客獲得単価(CPA) = 20万円÷15人 =
    約1万3千300円(高い!)

というわけで一人会員を増やすために1万3千300円もかかってしまうプランだったことになる。広告するサイトがマンション販売サイトで、マンションの購入申込客を獲得する単価だったとすれば、既存の広告手段(チラシ、テレマーケティング)などに比較して、今回のバナー広告は充分に安い(費用対効果が高い)ということになる。単なる無料サービスの会員募集だったりすると悲惨な結果といえる。

これらの数値指標は、媒体側にある程度過去の実績情報が蓄積されているので、広告を出稿するまえに、代理店などに問い合わせることで、極端な広告の無駄打ちを防ぐことが可能なので、商業サイトのウェブマスターの方はぜひ憶えて欲しい。

広告効果の測定はネット広告の命(1)

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 19:03:17

インターネット広告が既存の広告と違うのは、広告効果の測定基準がかなり明確であることだ。簡単にいえば、バナー広告を出せばサイトへの訪問者は増えるはずだ。かつてサイトのトップページにアクセスカウンターを付けるのが流行ったが(今これをやるのはカッコ悪い)たとえばyahooののトップページに広告バナーを掲載したとすると、どのような数値が測定可能なのかを、以下の図で考えてみよう。

バナー広告を出稿すると測定できる数値の図解

まず、あらかじめ広告バナーを募集しているサイトに関しては、平均ページビュー(PV)ユニークユーザー数などの媒体情報が公開されていることが多い。これら数値は広告媒体としての評価基準となる。

ページビューというのは、そのページが何回ユーザーのブラウザに表示されたかという指標だ。単位はPVと表記されることが多い。

たとえば一日100ページビューなら、一日にそのページは100回、誰かに見られたわけだ。100PV=アクセスしたヒトの数ではない。10人のユーザーが各自10回ダウンロードすることと、100人のユーザーが1回だけダウンロードしたページでは、どちらも100PVとして表現できるのだ。したがって特定のページではなく、サイト全体で一日10万PVと表現されても、ページが増えればPVは増えるので、広告媒体として価値があるのかどうかはわからない。

ユニークユーザー数というのは、特定の期間にサイトにアクセスしているユーザーの数だ。同じユーザーが一日に何回もアクセスしたとしても、一人としてカウントされるように、Cookieを利用するのが一般的だ。

ユニークユーザー数が大きくなれば、そのサイトは広告媒体としてリーチが広いと表現される。一般的なコンシューマー用商品を販売するサイト(BtoCサイト)を告知するなら、広告媒体はこうしたリーチの広さを基準に選択する。

バナー広告を掲載して、それが面白そうに見えれば、アクセスしたユーザーはバナーをクリックする。クリックしてリンク先のサイトに辿りつければバナー広告は役割を終える。そのサイトが会員制サイトで、無料の会員登録キャンペーンを告知していれば、アクセスしたユーザーの内の何パーセントかは登録するかもしれない。

バナー広告は通常クリック数をカウントするためにCGIプログラムを経由して、リンク先に移動する。バナーを掲載した期間が1週間で、掲載したページのページビューが合計10万PV、クリック数が200件だったとすると、そのバナー広告のクリックスルーレート(Click Through Rate:CTR)は以下の要領で算出する。

CTR = クリック数÷バナー広告の表示回数(掲載ページのPV)
= 200÷100,000= 0.002 = 0.2%

このレートが高ければ、効率よくユーザーを掲載サイトからリンク先のサイトへ誘導できたわけである。CTRは広告媒体ページの性質や、バナーのデザイン告知内容により上下する。

ちなみにバナーのクリック数が200だったとしても、リンク先サイトへのアクセス数が200ということは滅多にない。大抵はバナーのクリック数がリンク先のアクセス数を上回る。なぜなら、バナーをクリックしてからリンク先が表示されるまでの時間が長いと、ユーザーはブラウザを閉じてしまう確率が高くなる(ジャンプする前にキャンセルする)からである。

リンク先が表示されるまでにかかる時間は、バナーのクリック数をカウントするCGIプログラムの動作速度(サーバーの動作速度)、クリック時のネットワーク全体の混雑度、クリックしたユーザーのインターネット接続速度、ユーザーのブラウザの動作速度、リンク先のページのサーバー速度やデータ量(画像が多いと速度が遅くなる)などに影響される。

一般にユーザーはリンク先の表示に8秒以上かかると、他のページへ行ってしまう(閲覧をキャンセルする)と言われる。したがって広告を出稿するときは、リンク先のページが早く表示されるように、ページデザインは充分に練ったものにしなければならない。フラッシュアニメーションなどの過剰なデザイン表現は極力排除すべきだ。

バナーをクリックしたユーザーは広告内容について詳しく知りたいという目的でアクセスするので、この要求に応えられるような、ユーザビリティに配慮したページを用意することが広告効果を高めるポイントである。

2000/11/7 火曜日

マーケッティング本が多すぎる!

Filed under: Marketing — 管理人 @ 21:10:49

インターネットはビジネスに役立つと言われはじめたのが1994年頃。それからというもの、ウェブを利用すると誰でも大成功=金持ち!になれるという幻想を造り出してきた犯人はマスコミである。この幻想が、しかしあまりにも多くのウソを含んでいることは、相次ぐ巨大ウェブサイトの破綻に関するニュースでそろそろ最前線のヒトはわかりはじめているようだ。

しかし、まだ充分にウェブビジネスを理解していないヒトにとっては、インターネットはいまだに『夢の装置』であるらしい。ウェブマーケティングに関する初心者向けの書籍は恐ろしく売れているし、情報も氾濫している。書籍通販サイト『bk-1』でマーケッティング・e-ビジネス情報書籍を検索すると、なんと79冊も表示される!

これらの書籍に書かれている成功ノウハウが全て現実なら、今ごろ日本は『IT後進国』などと焦る必要はないはずだ。

ネットベンチャーの上場熱はいくらか冷めたが、ワケもわからず金を出す投資家はまだまだ多い。ありがたいことだ。投資家がお金を簡単に出すので、経営者は赤字経営でも『成功している』と自らを誤解することになる。

インターネットビジネスに王道なし!

『こうすれば大成功』という話は詐欺の常套句だ。ましてやインターネットの世界は日進月歩なわけで、成功のセオリーは刻一刻と変化するものである。まさに『インターネットビジネスに王道なし』ということをそろそろ考えなければならないだろう。『そんなこといったら身もフタもないよ』なんて言われそうだが、最近は愚直なネットビジネスを煽動する情報がマスコミから流されるので、あえてネガティブな視点で一度マーケッティングというジャンルを見直したいと思う。

元来ビジネスの成功要因は時代を超えてとてもシンプルなのだ。『良い製品、良いサービスを適切な価格で提供する』という大原則をはずれたビジネスは成功しない。マーケッティングとは、この『良い製品』『良いサービス』『適切な価格』を判断する上で必要な知識とノウハウのことである。これにインターネットの技術ノウハウが加算されて、『インターネットマーケティング』というジャンルは完成する。

2000/11/5 日曜日

ネット広告と既存広告の違い

Filed under: 未分類 — 管理人 @ 18:49:15

前ページでは、既存のメディアを利用した広告とインターネットメディアを利用した広告の違いを、マンション販売の例で解説した。かなりおおざっぱな例だったので、『なんだかよくメリットがわからない。簡単に説明しろ!』というヒトのために、インターネット広告の特徴を以下にまとめてみよう。

インターネット広告は認知から購買アクションまで顧客行動が一直線である

インターネットでは、ユーザーが広告を認知してから、その商品、サービスを購入するまでの経路は一直線だ。ヘタをすれば認知から購買まで数分で完了してしまう(もちろんネットで購入可能な商品に限るが)。これは広告効果というよりプロモーション効果(販売促進効果)といったほうがわかりやすいが、要するにインターネット広告は広告活動=プロモーション活動となる。費用対効果という時代の要請にあっては、この特徴はインターネット広告を実行する大きな理由だ。

従来、広告活動とは、商品、ブランドの社会的認知までを使命としていた。テレビCMを例にとれば、ビールのコマーシャルを観たヒトがすぐにビールを買いに行くなんてことはあまりない。ビールを買う場所にいって、どのビールを買うかな…というときに、コマーシャルを思い出すだけだ。ひょっとしたら、ビールの広告を観て、そのブランドのビールが欲しくなるヒトよりも、ビールを飲みたくなるヒトのほうが多いかもしれない。(筆者はこのパターンだ)その場合、ビールのコマーシャルはブランドに貢献するよりも、近所の居酒屋の売り上げに貢献しているかもしれない。

いずれにしろ、広告は広報部の担当で、売り上げを考えるのは販売促進部、うれる商品を考えるのがマーケッティング部というように、広告はシビアな評価からはかなり遠い場所にあった。(だから広告業界はテキトーな世界だった。従来型の広告代理店がネットにあまり進出していないのも、こうしたノンキな業界風土ではシビアなネット専門広告代理店にかなわないからだ)ちなみにインターネットで売れる商品を考えるなら、広報+販売促進+マーケティング機能をウェブ部門が統括していなければならない。

余談だが、テレビコマーシャルにはそれ特有の効果があって、たとえばコマーシャルでビールを飲んでいるタレントさんのイメージや、ビールを飲んでいる環境が、そのビールのユーザーのイメージを作りだす効果がある。美人の若い女将と頑固そうな主人が質のよさそうな料亭を経営していて、そこで飲まれているビールが『エビス』というわけ。これを記号効果と勝手に名付けるとしよう。そうすると、広告活動=ブランド認知効果+記号効果ということになる。こうした効果はいまのところのインターネット広告では実現が難しい。

しかし、この記号効果については、使い方を誤ると危険で、売れるはずのものが売れなくなることもある。商品イメージを固定してしまう危険があるからだ。『エビス』ビールの例でいけば、イメージを上質にしたかわりに、味に対する期待も大きく肥大してしまった。しかし『エビス』ビールは他のブランドに比較してとびぬけて高い商品ではない。では、なぜ上質なのか?答えはどこにも告知されていないので、ユーザーから見て、このズレはエビスビール購買のジャマをする。

また、広告効果をタレント性に頼りすぎると、商品寿命をダメにしてしまうこともある。コマーシャルに起用したタレントが不祥事を起こすと、商品イメージまで悪くなってしまう。それを覆すためには、さらにインパクトのある広告を大量の金をつかって作成しなければならない。

『ネットでビールが売れるかよ!』というイチャモンがつきそうだが、例えばインターネットで渇きを満たすことはできないが、ビールを大量に購買させる機会をつくることができる。日本人はお中元やお歳暮商戦があり、ビールもそうした贈り物に選ばれることは多い。これはネット向きの商品だ。

インターネット広告の効果は測定可能である

例えば日経新聞に広告を出しても、どんな読者がどれだけその広告を見たかは全く測定不可能である。

『いや、媒体調査によると日本の経営者の90%以上は日経新聞を読んでいるから、すくなくとも経営者クラスの人間に対して認知効果がある!』といわれても、それはあくまで媒体全体の予測でしかない。読者は特定の記事しか読まないかもしれないし、特定の誌面しか興味ないかもしれない。新聞の特定の広告枠に何人が注目したかを調べるには、読者全員にアンケートをしてみるしかないが、そのアンケートが正確に回答される保証はない。したがって広告効果も予測不可能だ。

雑誌の広告にしても同様で、たとえば25万部発行のタウン誌に広告を出しても、何人がその広告を見るかは測定できない。25万部のうち、半分は売れなくて返本されて、取次店の倉庫に積まれているかもしれない。(実際、1998年度の出版流通調査で、雑誌の返本率は40%以上だった。マガジンハウスも雑誌を廃刊するわけだ)

実販売数が判明しても、読者は広告ページをまったく見ていないかもしれない。あるいは雑誌を買ってから、3日くらい経過してはじめて読み出す読者もいるかもしれない。

交通広告、看板の場合はもっと悲惨だ。看板広告を見るヒトは看板での情報を捜しているヒトだけだ(駅前で道を捜すヒトくらいだ)中吊り広告で効果があるのは山手線やその近郊の路線だけで、混雑する都会だけの媒体だ。広告に電話番号が書いてあっても、いきなり電車で電話をするひとは皆無だろう(禁止されてますからね)。

新聞や看板、雑誌の広告の認知度を広告ごとに正確に調査する方法はない。このことは、広告についての費用対効果を測定できないということを意味するわけで、イントロの項で筆者が新聞広告を『予算が余っている大企業向け』としたのはこういうわけなのだ。

インターネット広告はターゲッティングが可能である

もちろん媒体にもよるが、一般的に、既存の広告媒体に比較して、インターネット広告はターゲッティングが詳細かつ簡単である。

前述のオプトインメール広告では、ユーザーの詳細なプロファイルに合わせて広告を出稿することが可能だ。年齢、住所、性別、年収、職業、趣味、嗜好、家族の有無、よく行くお店の種類、などなど。バナー広告にしても、掲載されるページをどんなユーザーが見ているかは、(あらかじめ実行されたアンケートや、アクセスログの分析により)かなり詳細に特定可能である。また、クリック保証広告のように、その広告に関心のあるヒトが集まるまで広告を掲載しつづけるという形態の広告も可能だ。

それに対して、新聞を誰が読むかは、誰も調査できない。なぜなら、特定の新聞を誰が買っているかを調査する方法がないからだ。(繊維新聞を繊維関係のヒトが読むという推測は可能だが。)

新聞の広告調査はアンケートによる統計調査があるが、費用は莫大である。

『日経新聞を読んでいるヒトに告知したい』という広告担当者が多いが、これはターゲッティングではないし、こうした考え方をするヒトはインターネットには向いていない。おおざっぱ過ぎて、広告予算がすぐに底をついてしまうだろう。

かつて雑誌広告は、ターゲッティング可能なメディアだった。今でも、女性ファッション誌などは想定読者というのをかなり煮詰めているので、ターゲッティングは容易といえるかもしれない。しかし、費用対効果を考えるとき、雑誌ほど無駄の多いメディアはないだろう。大半の読者は広告スペースなど読み飛ばすからだ。じゃあ記事タイアップ広告!と思うかもしれないが、通常、雑誌広告でもっともコスト高なのは記事タイアップ広告である。

インターネット広告はリアルタイム告知が簡単

リアルタイム告知とは、ふたつの意味がある。ひとつは、準備から告知までの期間が極めて短くできるということ。もうひとつは、告知する時間を特定できるということである。

ネット広告は準備が他の媒体に比較して簡単である。もっとも簡単なのはメール広告で、文字ルールさえ理解できれば誰でも数分で原稿を用意できるだろう(よい原稿かどうかは別として)。原稿を準備できれば、あとはメールを配信するだけ。『思いついたらすぐ告知』というわけだ。準備期間が短いということは、やはりコストが安いということである。『時は金なり』ですからね。

紙媒体の広告なら、企画、デザイン、印刷、納品と気が変になるほどの専門プロセスを経過して、ようやく完成だ。印刷段階で修正はできないし、企画から出稿までどんなにがんばっても1週間はかかるだろう。もちろん広告プランは別に時間を作らなければならない。デザインが気に入らなければ、すべてはオシャカになる可能性もある。

告知する時間を特定できるというのは、バナー広告でいえば表示する時間帯を選択することが可能だし、また時間帯によってホームページ内容を書き換えることも可能だ。もちろん、こうしたリアルタイム性はラジオやテレビ広告にはかなわないが、やはり費用対効果ではネット広告がはるかに有利である。

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